【暮らしのインテリア】土地探しの希望条件はひとつだけ。巡り合った住宅街にある25坪の土地〜小さく住まう楽しさを感じる、建築家の自邸(mattam_interiorさん)

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「暮らしのインテリア」ではすてきなお家やインテリア、整理・収納、お掃除を体現されてる方にフォーカスし、普段インスタグラムでは発信しきれない実体験をコラム形式で配信していきます。


注文住宅、マンション、アパートなどそれぞれ暮らしの中にインテリアがあり、背景には共感する点も沢山あると思います。そんな素敵な暮らしをお届けしていきます。


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コラム執筆者のご紹介


今回から連載がスタートするのは、一級建築士事務所を経営されている@mattam_interior(以下、tamaco)さん。ご自身で設計された素敵なおうちにお住まいです。


建築家さんの自邸って気になりますよね。元々の建築に対する知識はもちろん、普段から家について考え経験を重ねていく中で、たどり着かれた選択を知りたいと率直に思いました。


もちろん土地や暮らし方により、正解は様々であることはわかりつつ、実際にお住まいのおうちについてのお話と建築家目線でのお話を両面からしていただけるのは貴重な機会だと思うのです。


それではtamacoさん、よろしくお願いします!


はじめに自己紹介 


はじめまして、tamacoと申します。住宅や店舗の設計をしております。


2015.12 金沢のまちなかに小さな家を建てました。住宅密集狭小地に、プライバシーを守りながら居心地よく暮らせるようにと設計した家に、現在は夫婦2人と猫2匹で暮らしています。


コラムではそんな我が家の家づくりの考え方やインテリアについて、また設計の仕事をしていて思うこと等をお伝えしたいと思っております。


これから家づくりをされる方へ、少しでもご参考になれば幸いです。よろしくお願いいたします。


いつか建てるつもりだった自分の家。フワッとしたはじまり


建築の道にすすむきっかけとなった子ども時代


今になって振り返ると贅沢な悩みだったのですが、子どもの頃に過ごした私の部屋がものすごく渋かったのです。


狭くて薄暗いドスの効いた抹茶色のじゅらく壁の和室で、いい様に例えると躙り口からこっそり入る茶室のような、密談にうってつけの部屋でした。


乙女な少女の趣味とは真逆の部屋に不満を抱きつつ、子ども時代を過ごしました。そんな部屋で育った為、自分の部屋がこうだったらいいのにと妄想するようになりました。


間取りがたくさん載っているチラシをじっくりと観察したり、ドラマのシーンの背景で映るインテリアをストーリーそっちのけで観たり。


そうしているうちに将来自分の家を自分で設計したいと漠然と考えるようになったのが、建築の道に進もうと思ったきっかけです。


こうして設計士になったので、いつか自分の家は建てるつもりでいました。


建物にこだわりたかったゆえの土地探し


明確なきっかけは特になく、いい年齢になってきたしそろそろ家が欲しいなというフワッとした気持ちで、家づくりをスタートしました。


我が家の土地探しの希望条件は、「まちなかであること」の一点のみ。 夫婦2人で歩いて飲みに行けるような場所で暮らしたいなという想いのみで、それ以外は特に求めませんでした。 


希望条件が多いほど土地の価格も高くなっていきますし、その分建物に予算をまわせなくなるのを避けたかったのもあります。土地よりも建物にこだわりたい気持ちが強かったのです。


徒歩の利便性さえ良ければ他の利便性は落ちてもよかったし、土地の広さへのこだわりや景色へのこだわりもなかった為、良い価格で意外とすんなり気に入った土地が見つかりました。


希望通りの場所に見つけた土地は、住宅が密集した25坪の狭小地でした。


「小さな家」を楽しむ


私は小さな家の設計が好きです。


小さく住まう為に、自分にとって(住まい手にとって)何が大切で、何がいらないのかを考えざるを得ず、自分達の暮らしに本当に必要なものだけが残っている、無駄のない濃度の高い家になるからです。


狭小地や町家、変わった形状の土地の設計は難易度がグンと上がり難しくなります。


しかしながらうまく設計すればむしろ面白いものができるのではないか、小さく住まう楽しさを感じられるのではないかと、その狭小地の購入を決断しました。


自邸の設計時間が短かった理由


自邸の設計は、事務所で日々の設計の仕事が終わってから行っていました。今まで携わった家の中でダントツ一番、設計時間が短かったと思います。


普段からお施主様と一緒に暮らしについて考えている日々を送っているので、自邸に対する考えもある程度明確になっていましたし、やりたいことも終始ぶれなかったので手戻りもありませんでした。


ありがたいことに夫も私の設計に理解があったのでスムーズに進みました。何をしたらいくらぐらいかかるのかといった感覚も多少はあるので、予算のコントロールも難しくなかったです。


また施工の面でも、普段から一緒にお仕事させて頂いてお世話になっている尊敬している職人さん達に携わっていただいたので、安心してお任せできました。無理難題も叶えて頂き、滞りなく建てることができました。


家づくり中に感じた、唯一の「不安」を乗り越えて


家づくりで不安だったのは一点のみ。これまで何十件と設計させて頂いているのにも関わらず、自分たちが住宅ローンを組んだ時は不安を感じました。


家づくりについてよく知っているに、やはり金額の大きさにはびびったので、この段階でのお施主様の気持ちがよくわかりました。


ただ、建てる時の心境と暮らし始めてからの心境は180度変わることもわかっていたので、この不安を優先してコストを抑えすぎると暮らし始めてから後悔する!と思い切って吹っ切りました。


吹っ切った後は純粋に楽しんで家づくりができたと思います。今回のお話はここまでです。


次回のコラムでは、どんなことを大切に考えて設計したのか、インテリアの部分にも触れていきたいと思っております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。



tamacoさんの建築家目線でのお話、とても興味深かったです。建築の道に進もうと思ったきっかけは子ども時代にあったんですね。


実は私も子どもの頃に和室で暮らし、素敵な家に憧れを持ち、テレビドラマの中のインテリアをじっと見てしまう子どもでした。tamacoさんと違って建築家という職業があることを全く知りませんでしたが(笑)


土地探しの条件がひとつだけというのは本当に珍しいですよね。土地よりも建物にこだわりたい気持ちが強かったというのはご職業柄納得ですよね。


また多少条件のよくない土地であっても、うまく設計すればむしろ面白いものができると言えてしまうのも強みですよね。


我が家も設計の際に苦労して、今でももう少し違うようにはできなかったのかと妄想してしまう時があるので、tamacoさんならどんな提案をしてくださっただろうと考えてしまいました。


今後のお話も楽しみです。tamacoさん、ありがとうございました!

(編集:kaori)


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