【あの人の暮らしが素敵な理由】陶芸と花、夢中になれるものに出会えて。自分自身と向き合う時間〜趣味を楽しむ(happa_to_ieさん)


【あの人の暮らしが素敵な理由】


“インスタグラムでつい憧れてしまうあの人”の暮らし方のヒントやモノ選びなど、暮らしにまつわるアレコレをご紹介いただきます。


前回までのコラムはこちら


今回は「趣味を楽しむ」をテーマに、@happa_to_ie(以下、happa)さんのお話をお伺いしていきます!


「好き」に毎日触れる暮らし


happa

よく友達や会社の方から、「趣味がたくさんあっていいですね」と言われます。そして皆さん、何か趣味を見つけたいとおっしゃいます。


2011年から陶芸を初めて11年、花の世界に魅了されて20年ほどになりました。


陶芸を始めたきっかけ


陶芸を始めたきっかけは、子どもの送迎で空いている時間を埋めたいという、けして前向きな気持ちからではありませんでした。


たまたま訪れた雑貨屋さんに『陶芸教室』の貼り紙を見つけ、ちょっと体験したいなという軽い気持ちから、先生にお会いしました。


先生は、シルバーヘアのとても上品な方で、優しい口調のお話に引込まれました。50歳で早期リタイアし、その後、ずっとやりたかった陶芸をされているとのことでした。


すぐに先生と意気投合。母親くらい歳は離れていますが、お話していてとても楽しい時間で。まるで陶芸をするより先生とお話したくて通っていたような気もします。


陶芸を習ってみて


1年目は、先生がカリキュラムに沿って教えてくださいました。まずは、土を練るところから。菊練りと言われる菊の花びらのように綺麗な模様が出てくるような練り方です。


次は、細長く伸ばした土を少しずつ積んで伸ばして、たたいて器に仕上げていく手びねりを。その後も様々な手法を1週間に一度、半日かけてたっぷり教えていただきました。


2年目以降は、好きなものを作らせていただきました。たまたま友達と半年に一度の販売会を始めた時期だったので、自分自身が作りたいデザインを考えて作って販売する楽しみが増えて。


作品には『happa to hana』という手書きで作った印を押しています。これは、花屋さんで働いていた時に寄せ植えに付けていたハンドルネーム。この名前とも長くつきあっていますね。


私の作ったものは雑貨だと思っています。陶芸作品とはとても言えませんが、自分自身が使いたいお皿や器、ドライフラワーを飾るための花器など、いつも楽しみながら作っていました。


先生と新しいことにもトライしました。この土にこの釉薬はどうかしら?なんて試してみると、思いもよらない深い色が出たりして。先生もまた、私が作る雑貨のような作品に興味津々だったと思います。


器を作る工程は、自分自身に向き合う時間


器がどのような工程で作られるか皆さんご存じですか?土を練って成形して、乾燥。それを一度素焼きします。温度は低めの900℃くらい。


素焼きされた物を磨いた後、水分を通さないための釉薬をかけます。これがとても大変な作業です。


せっかく素焼きまでできた器が釉薬で失敗することも多々ありました。本当に苦手で、釉薬をかけるときはクタクタになりながら作業しています。


その後、本焼きです。釉薬によって溶ける温度も違うのですが、私の場合は1240℃ほどでしょうか。溶けた釉薬が土の表面にガラス質の層をつくり器として焼き上がります。


完成した器をまた丁寧に磨きます。このように、気が遠くなるほどの長い工程を経てやっと完成。


ひとつひとつの工程で、自分自身に向き合う時間を持つことができます。これが趣味に没頭する瞬間だと思うのです。


レジンの花と出会って


陶芸を楽しんでいた私ですが、最近は今のご時世の影響で教室になかなか通えず、先生との楽しい談笑の時間が持てなくなりました。


おうち時間が日常になってきた頃、娘が持っていた押し花を使ったハンドメイドのスマホケースを初めて目にしました。


あまりアクセサリーに興味がないため、アクセサリー作りによく用いられるレジンというものを知らなくて、レジンの中にある花がとても美しいことに感動さえ覚えたのです。 


20年前、花屋さんで働きたくて転職したくらい、ずっと花が身近にある生活をしていたのに『押し花』の世界には目を向けていませんでした。フレッシュフラワーはもちろん、ドライフラワーも大好きなのに。


そこから私は、まず材料集めをしました。陶芸をしていたときに、道具の大切さを学びましたので、押し花を使ったスマホケース作りに必要な材料を、自分なりに考えて集めていきました。


一番大変なのは、押し花を揃えること。それも美しい花を揃えることです。まだ押し花を作る技術はありませんので、押し花作家さんから購入いたしました。


出会いが形になる時


同時に作り方の情報も集めて、自分なりにひとつめの作品を作った時に、更に感動しました。本当に花が美しいのです。50歳を過ぎて、なお夢中になれるものがあるなんて。


失敗もたくさんしました。でも、何でもはじめからうまくできる訳ではないですよね。失敗するから工夫する。この繰り返しで、だんだんと自分の世界ができてきました。


0から1にしていく過程が、苦しいけれど好きなのだと思います。自分の頭にあるデザインを形にしていく。これがなんとも言えず楽しい行程なのです。


若い頃から好きだった「花」の世界


ずっと若い頃から花屋さんになりたかったのに、年齢や現実の壁に当たってなかなか前へ踏み出す勇気がなかったのですが、押し花のスマホケースと出会って気持ちが固まりました。


この美しい押し花をぜひ皆さんにお届けする仕事をしていきたいと。そのために、花のかけらを持ち歩けるスマホケースとしてWebショップも開設しました。


皆さんも「好きなもの・興味があるもの」がありますよね。あったらチャンスです。まずは調べてみる、そして調べたものを形にしてみる。


そんな行程の中で、夢中になれるものに出会えたら日々の暮らしに楽しみが生まれます。私もそろそろ会社員を引退し、ずっと憧れていた陶芸の先生のように好きなことに毎日触れる暮らしを始めます。



陶芸に花、と多才な趣味をお持ちのhappaさん。趣味がたくさんあっていいですねという、お友達の言葉に頷いてしまいます。


お話を伺ってみると、陶芸は張り紙がきっかけで気持ちも前向きではなかったとおっしゃるのですから意外ですよね。


もう一つの趣味のレジンのお花は、若い頃からずっと好きだったものが原点になっています。「0から1にしていく過程が、苦しいけれど好き」という言葉が印象に残りました。


コラム執筆時に、そろそろ会社員を引退するとおっしゃっていたhappaさんですが、現在その時がきて、好きなことに毎日触れる暮らしが始まっています。


いつかそんな毎日が過ごせたらと思いつつ、自分の「好き」に向きあってみたくなりました。


(編集:kaori)


specialthanks

@happa_to_ie


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