コンロと水洗の距離感が近く、効率的な家事動線を設計できるL字型キッチン。加えて、壁付けにすると限られたスペースでも調理スペースを確保できる点も魅力的。
一方で手元がオープンになり収納やインテリア・見せ方も気になるところ。
夫婦のわがままを通したいと注文住宅に至った@riche______さんと、立地や諸々条件を考慮した中で新築マンションを選択した@yu_u_ki__kurashiさん。
お二人の共通項はL字型キッチン。
どちらも素敵なキッチンですが、実際に使う中での良さやすっきり見せるポイント、インテリアに関してもお話を伺いました。
動線と理想のキッチンを追い求めて
riche______さん
マイホームを検討する際に限られた予算の中で、どうしたら夫婦それぞれの意見を取り入れられるかを一番に考えました。家族会議を通じて優先順位を考え、それを叶えてくれるハウスメーカーを探しました。
キッチンはグラフテクトを採用
家づくりのテーマの一つに親族や友人、たくさんの方を迎える家にしたい、その思いがありました。
ただ片付けは得意な方ではなく、アイランドキッチンのようにオープンなキッチンを素敵に使いこなす自信はありませんでした。また旧家のキッチンはコの字型で家族の声が聞こえにくく料理も運びづらかったので、動線もしっかり考えて設計していきました。
まずは壁付けのⅠ型を軸にし、後ろに作業台、L字型、ペニンシュラなども含めてたくさん図面を書いていただいた中で、動線と理想的な使い方から今のL字型にたどり着きました。
我が家はグラフテクトを採用しました。
ポイントは以下の4点。
・リーズナブルなお値段
・他メーカーにはない色味
・フロントオープンの食洗機の設置
・カップボードもコストパフォーマンスよく統一できる
壁には窓を設置し庭をみながら料理や片付けができます。日中は手元も明るく気分転換にもなるのでこれは採用してよかったです。側面にはカウンターテーブルを置き、娘が食事や勉強をしています。キッチンで作業をしながらでも会話がしやすく、学習の様子も見守れます。
L字型キッチン使い勝手はいかに?
我が家のキッチンにおける使いやすさと、使いづらさについてご紹介しますと・・・
◯使いやすい点
・作業スペースが広く、置く場所が沢山ある
・汚れが目立ちにくい面材
・シンプルなステンレスシンクで汚れもすぐ落ちる
・キッチンが壁付けで窓があり、窓枠にハーブを置いて料理に使っている
・フロントオープンは大容量でカトラリーの引き出しがとても便利
◯使いづらさを感じる点
・L字型の中央あたりに食洗機があるので、 食洗機を開けているとコンロ下の引き出しや中央の扉が開けられない
・スパイスラックの引き出しがあるが、手持ちのスパイスが沢山あって入りきらない。高さも合わなかったので菜箸や調理器具を入れている
フロントオープンの食洗機は取り入れてよかったですが、日常使いまではなかなか設計段階では考慮するのは難しかったです。開け閉めの回数はそこまで多くないので、動線上負担になるようなことはありません。
収納は使いやすさを中心に設計
「収納は映えよりも使いやすく」私の収納テーマでもあります。
先述したとおり来客が多いので食器やグラスもたくさんあります。便利な小物も出しっ放しでもオシャレに見える小物、人と被らないモノが大好きで、キッチン周りはモノは決して少なくありません。
そこで背面収納とキッチンの中央をずらして、ダイニングの後ろ側まで収納があるようにしました。
キッチン側には食器や料理で使うモノがメイン。ダイニング側にはおやつを入れたり、主人と娘が使うモノを入れています。
箸・カトラリー・テーブルマット類はダイニング側に、できるだけお手伝いをしやすく。主人は料理はしませんが、私だけが使いやすい動線ではなく、家族も手伝えるようにダイニング側に収納を設けました。
キッチンの引き出しはセリアのトレーをメインに使っています。あまり統一せず、容器の詰め替えもテプラを貼ったりもしません。また、洗剤のストックや調味料ボトルは下段引き出しへ。深型の鍋もここへ収納しています。
動線にもこだわりがあります。
まずゴミ箱。キッチンとダイニングの真ん中にあり丸見えですが、どこにいてもゴミを捨てやすい利点を優先しました。続いて、シンク⇄冷蔵庫⇄コンロの三角形になる動線も普段の動き、最短距離を意識して設計しました。
カウンターでは勉強に加え軽食もできたり、夫の晩酌もカウンターを使ったり、食事の一時置き場としても活用できます。
L字型のデッドスペース
我が家はオープンLのカウンタータイプ(グラフテクト)を壁付けにしたため、天板がやや広いのが特徴です。それゆえ角の部分は奥まで拭きあげるのは難しいです。ここは想定済みでしたので、お手入れでストレスは感じていません。
このコーナーにはお花を置いたり、コンセントもあるのでスピーカーや調理家電を使用したりと、スペースもあるので案外使い勝手が良いです。コンセント設置したのはポイントだったかもしれません。
写真のタイルもインテリアコーディネーターさんにアドバイスを貰ったり、各ショールームに運んだりして決めたモノで、インテリアのポイントになっていてお気に入りです。
L字型キッチン、とても使い勝手もよく満足しています。どなたかの参考になれば幸いです。
友人にも褒められるL字型キッチンの魅力
yukiさん
我が家は立地を一番に優先して新築マンションを探しました。子育てや通勤の環境を考えた際に住みたい街があり、加えて駅からの距離も重視し、最終的には手放しやすい物件かどうかも視野に入れていました。
・昔からある住宅地に建つ新築マンション(新しく開拓した土地は災害履歴がわからないため)
・子育て環境、周辺環境が良い(水害の恐れがない、大きな公園がある、小学校が近い、スーパーとコンビニが近い、など)
・駅徒歩5分以内(夫婦ともに電車通勤のため重要)
・夫婦共に電車一本で通勤できる沿線、大阪の中心部から近い
・70平米以上(ファミリー向けの売り出しを考えて)
・南向き横長リビングで大きな掃き出し窓がある(明るいリビングに憧れていました)
上記の通り立地を優先したため、間取りは希望通りにはいかなケースもあるだろうと想定していましたが、必要ならリフォームもしていけばいいと思っていました。
L字型キッチンは想定外?!
キッチンも含めて間取りの優先度は低かったのですが、新築マンションは対面キッチンが通常だと思っていたので、L字型の間取りであることは想定外でした。
モデルルームは対面キッチンだったので、図面だと想像がつきにくく少し悩みました。その中でPinterestで同じようなL字型のキッチンを探して想像を膨らませたり、たまたま友人の家がコの字型キッチンで形状が似ていたりと、少しずつ不安を解消していきました。
実際使ってみて、不便さは特に感じていないです。
コンロからシンクが近いため、ほとんど動かずに料理も片付けもできます。特に食洗機から食器をしまう動作がとても楽です。コンロが壁付けなので、調理中にこどもの様子を見られないかもと思っていましたが、身体を斜めにすれば意外と部屋全体が見渡せるのでそこも大丈夫でした。
しいえて言えば、台拭きをどこに置いていても見えてしまう点です。一日中使うモノだし、湿っているのでどこかにしまうこともできず、お客さんが来るときは綺麗に畳んで小さくして置いています。
賃貸の時も同じタカラスタンダードのキッチンだったのですが、当時の対面キッチンと比較すると今の方が一つ一つの引き出しが小さくて容量が少なく感じます。全体の収納量は今の方が多いのですが、一つの引き出しに収納する量には工夫が必要でした。
L字の角部分の収納は、奥まっているためどうしても取り出しづらさはあります。ここも使いやすくするためには何を収納したらいいかと始めは悩みました。奥行きがあるので、たくさんモノが入るのは良い点だと思います。
籠り感と開放感の組み合わせ
キッチンの背面は冷蔵庫や食器棚の置けるスペースがありました。
リビングダイニングから冷蔵庫が見えにくく、来客の方からケーキなど頂いた時など気兼ねなく冷蔵庫を開閉できます。ゴミ箱や食器棚も隠せるので見た目に気を使わずに設置できます。
また調味料も食器棚に収納すると湿気ることもなく、コンロ背面なので動線もよく、L字型ならではのこのスペースはとても気に入っています。
お気に入りのモノをあえて並べてみる
水回りやコンロがリビングから見える形なので、それならばとお気に入りのモノに目がいくようにと飾り棚をつけたりタイルを貼ったりと好みの雰囲気にしたいと考えました。食器が好きなので気分によって置くモノを変えて楽しんでいます。キッチンマットもインテリアの一部になるようにパペリナを選びました。
タイルを貼る場所は面積が大きく目立つので、あえて平行に貼って視覚的にスッキリ見えるように。必要なモノ、好きなモノに囲まれた温かい雰囲気になるようなインテリアを目指しています。
スッキリ暮らす収納
水切りラックは流し台の内側に収まり、スッキリ見えるものにしました。たくさん洗い物がある夕飯後はワークスペースに出して使いますが、日中は流し台に設置しています。
手元が見えるキッチンなので、洗剤やスポンジも本当は引き出しにしまいたいところですが、夫もキッチンに立つことが多いので、使いやすさを優先して常に出してあります。できるだけ容器は目立たないように無印良品にしたりパッケージを剥がしたりしています。他にも息子対策の包丁立てなど、ワークトップに置く物の色味は目立たないモノを選びました。
吊り戸棚はリビングから見える位置にあるため、来客時に使わないストックや製菓用品、使わなくなった離乳食グッズなどを収納しています。
また、なるべくお客さんが来る前に飲み物やコップ、お菓子を準備して出していて、あまり収納を開けることがないようにしています。
収納面では見た目を意識しすぎていた時期があり、その時に夫から「どこになにがあるかわからない」と言われてしまいました。そのことがあって反省し家族がわかりやすくて使いやすい形にしていこうと考えを改めました。
今は引き出しを開けると一目で何が入っているかわかり、ワンアクションで手に取ることができるように意識しています。
吊り戸棚の上の段などたまにしか使わないモノはまとめてケースに入れていますが、ラベリングをして私以外でも何が入っているかすぐに見つけることができるようにしました。
特に我が家は春からまた共働きになるので、さらに夫の協力が必要になります。夫に率先して家事をしてもらうためにもキッチンに限らず、収納の使い勝手などは夫に使い心地を確認しながら常に試行錯誤しています。ゆくゆくは息子も率先してお手伝いをしてくれたら嬉しいなぁと思っています。
デッドスペースの使い方
角はデッドスペースというよりは、お気に入りのモノや毎日使うモノを置ける場所として上手く活用していけたらと思っています。
現在はレンジを置いているので、温め終わったらサッとお皿に盛り付けして、盛り付け終わったらレンジの上を一時置きにしたりできて便利だと感じています。
収納は、あまり使わないモノを収納したり、ラップやアルミホイル、調味料のストックを奥側にしまっています。
片手で掴みやすく軽いモノをしまうと、取るときも簡単でストレスを感じません。かなり奥行きがあるのでたくさんストックできるのは利点かなと思います。手前にはよく使うモノをカゴに入れて収納しています。 引き出し感覚でカゴを引っ張って必要な物を取ったり、カゴごとワークスペースに出して使ったりしています。
今の新築マンションはキッチンの高さも選べたりするので、身長に合ったキッチンを選べばワークスペースの角まで手が届き辛いということは少ないのでは?と思います。我が家は夫もキッチンを使うので通常の高さを選びました。私は154センチで背が低いのですが今のところ特に不便さを感じずに使えています。
新築マンションで決められた間取りサイズ感のL字キッチンですが、動線は使い勝手がよいですし、モノの配置によってはスッキリした見た目も保てると想います。
初めは不安だったL字型キッチンですが、友人にも好評で今ではお気に入りのスペースになりました!
アイランドキッチンや、最近はセパレートのⅡ型キッチンをよく目にしますし、ムクリでもご紹介しています。
ある時L字型(できれば壁面につけた)を取り上げていただきたい!とお声をちょうだいしました。確かにL字型ほとんど取り上げたことがなく、角はデッドスペースになりやすい、動線は良いかもしれな、そんなイメージだけを持っていました。
そこで注文住宅で採用した方と、新築マンションで決まった状態で採用したお二人にお話お聞きしました。
いかがでしたでしょうか。
個人的にはL字型は厨房っぽくて好きです。
間取り、動線設計は難しいですが、riche______さんのようにキッチンとカップボードでダイニングを囲うと、食器類の出し入れ便利そうでしたね。また、yukiさんのような隠れたスペースがあれば、隠せる収納もできたり、パントリーなんかにも使えそうですよね。
おうちづくりや暮らしにはコレ!といった正解がないのは本当におもしろいところだなと改めて感じました。
(編集:編集長)
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