【暮らしのインテリア】心地良い暮らしをするための「照明計画」。建てる前から考えたいこと、住みながらできること〜小さく住まう楽しさを感じる、建築家の自邸(mattam_interiorさん)

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暮らしがより豊かになる、目的別の灯りたち


執筆者:tamaco(@mattam_interior) さん


最終回となる7回目のコラムでは、設計の仕事をしている観点と暮らしてみての感覚の2方向から「照明計画」についてお話いたします。


これから家づくりをされる方へ、少しでも参考になれば幸いです。


tamacoさんの前回までのコラムはこちら


目的別の灯りとは


照明と一口に言ってもその範囲は広いです、広すぎます、沼です。そのためコラムで全てをお話しすることはとてもできません。


廊下を通るために必要な明るさと、本を読むための明るさ、デスクワークや宿題をするための明るさ、映画を観る時に適した明るさ、しっぽり晩酌する時の明るさ。


目的によってちょうど良い明るさは異なります。


家づくりの際は、実用的な明るさを確保するための灯りと、落ち着ける雰囲気づくりのための灯り、その両方を考慮しておくと居心地良く暮らせるのではと思います。


ダウンライトは多種多様。配置も意識して


近年はLEDのダウンライトが主流となっています。私は実用的な明るさを確保したいときには、ダウンライトを使うことが多いです。


このダウンライトひとつとってもかなりの沼です。


角度の調節ができるタイプのものや、存在感を抑えてしっぽりと照らすタイプのもの、 調光や調色ができるもの、人感センサー付きのもの、演色性の高いもの、様々ありますので適材適所で選ぶ必要があります。 


ダウンライトは配置も大切です。間取りから必要そうな場所に配灯すると、ダウンライトの穴が散らかって天井がもぐらたたきのように見えて、なんとなくごちゃっと感じる空間に仕上がってしまいます。


そのため天井面のスッキリさも大切にして配灯するように気をつけています。


間接照明は計画的に


ゆっくりと落ち着ける雰囲気をつくるには間接照明が効果的です。


天井や壁、家具等に埋め込む建築的な間接照明もあれば、スタンドライトやペンダントライトを用いてインテリアと一緒に楽しむ間接照明もあります。 


天井や壁、家具等に埋め込む建築的な間接照明は、灯り方が抜群に綺麗かつスッキリした空間になります。さらに調光調色で実用的な明るさの確保と、落ち着ける雰囲気づくりの両方が叶う照明計画が可能です。


間取りを考える際に同時に計画し、きれいな余白部分を意図的につくり、その箇所に間接照明を仕込むので、早めの段階から要望としてあげていただくことがポイントになります。


間取りが決まってから等、あとになればなるほど間接照明を埋め込みたいと付け足しすると、実は失敗するリスクが高くなります。


ごちゃついたところやエアコン等を煌々と照らしてしまったり、点灯しなくても普通に暮らせてしまったり、せっかくの間接照明がもったいないことになります。


効果的に建築に組み込む場合は一番最初から熟慮する必要があり、またコストもそれなりなのでハードルはちょっと高めです。


インテリアの要にもなる、ペンダントライト


もっと気軽に雰囲気づくりのための照明を取り入れるのなら、スタンドライトやペンダントライトを用いてインテリアと一緒に楽しむ方法があります。


こういった照明はインテリアの要にもなるので、好きな照明器具を飾りつけするというような感覚で楽しめます。 


小さめのサイズや球体のタイプのペンダントライトを吊り下げる場合、コードを長めにちょっと低い位置まで伸ばすと雰囲気がぐんと上がります。


ペンダントの下を通らない、頭が当たらないような場所。例えばダイニングテーブルの上や洗面化粧台の上、またベッドサイドなど部屋の隅っこの綺麗な壁面の部分に吊るすのも良いです。


吹き抜け等がある場合はがっつりと長くぶら下げられるので、ペンダントとの相性が良いです。ちなみにエアコンの風がもろに当たると揺れるため、そこは注意が必要です。


我が家の場合、本当はもう少し低くしたいところではありますが、猫さんがちょいちょいやるので少し高めにしています。


大きめのシェードのタイプなら、あえて短めに下げても存在感が損なわれないのでアリだと思っています。


またガラスのシェードのペンダントは、景色の良い窓際や中庭に面した窓際に吊り下げると素敵度が増します。我が家はちょうどよい窓際がないのでこれができる間取りの方がとてもうらやましいです。


スタンドライトで雰囲気をプラス。コードの処理まで意識して


スタンドライトはコードなしの充電タイプも少しずつ増えてきていますが、コード付きのタイプがまだまだ主流ですので、造作家具の中に配線できるようにして天板に置いたりするとスッキリします。


ベッドやソファの横、飾りたい絵の近く、階段の下の空間や和室、玄関の角なんかに置くと雰囲気がでるので、コンセントはその辺に配置しておくとなにかと使えます。


コードは観葉植物の鉢や絵など置くものでうまく隠せるとより自然ですね。


我が家の場合、ソファ横にスタンドライトを置いています。テレビの向かいの位置にあたるため、夜テレビで映画を観る際に、薄暗いシーンでは観る角度によってスタンドの灯りが画面に映りこんでしまうことがあります。


面倒で別にいいやと思っているのでそのままにしていますが、ちょっと観にくい時もありますのでソファとライト、テレビの配置は微調整できるといいかと思います。


自分にとって居心地の良い灯りとは


明るさが欲しい時はダウンライトをつけて過ごしますが、まったりしたい時はスタンドライトとペンダントのみをつけて過ごしています。


スタンドとペンダント1灯~3灯だと暗く感じて結局ダウンライトをつけていたのですが、4灯~5灯へ照明を増やしたところ、その状態が自分にとってちょうど良く過ごしやすい明るさになりました。


明るさの調節ができるようになり、リビングに居る時間の過ごし方の質が格段にあがったように思います。


照明は選択できる範囲が広いため、後からだとどうにもならないところもありますが、住みながら随時更新できる点もかなりあります。


暮らし方によって人それぞれですので、家づくりの計画時だけでなく、暮らしながら自分にとって居心地の良い灯りを探っていけると良いですね。


今回が最終回のコラムとなりました。今までお付き合いいただきありがとうございました。少しでも皆さんのお役に立てることができたなら嬉しいです。


建築に組み込む場合の照明計画は、一番最初の段階から熟慮する必要があるんですね。想像以上に早くて、知っているのと知らないのとでは完成が違ってくるとわかりました。


ペンダントライトやスタンドライトは、配線や吊るす位置のことを考えるとこれも早めに計画できるに越したことはないですね。


そして「住みながら随時更新」「暮らしながら自分にとって居心地の良い灯りを探っていける」というお話にはホッとした気持ちになりました。


全7回にわたる建築家目線を交えたインテリアのお話。勉強になったり、時には猫ちゃんたちに癒されたりと毎回楽しませていただきました。


tamacoさん、ありがとうございました♪

(編集:kaori)


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