家づくりの始まり、後編。イメージ通りの家づくりを目指して〜地場の工務店で建てたこだわりのおうち(jun5___さん)

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建てたい家のイメージを明確にして、しっかり伝えるコツとは


執筆者:jun5(@jun5___)さん


前回のコラムでは、家づくりの始まり前編として、家づくりのきっかけから工務店が決まり待ち時間を過ごしているところまでお話いたしました。今回は、家づくりの始まり後編として、参考にしたものや私たち夫婦の希望した点についてお話したいと思います。


jun5さんの前回までのコラムはこちら


参考にしたもの、参考になった考え方


丁寧な施工で人気があり、そのため待ち時間が長い工務店で家を建てることになった我が家。6ヶ月ほどの待ち時間の中で、インスタグラムやピンタレスト、インテリア雑誌、建ててもらった工務店のHPの施工例、住宅展示場、そして特に海外の方のインスタグラムを見てイメージを膨らませていました。


もともと仕事柄、「イメージ」を探すのは得意で、昔からいつか家を建てたら参考にしたいとピンタレストで画像を集めて、夫婦でフォルダを作り共有し見せ合っていました。設計士さんはガラケーを使っていてネットにも詳しくなかったので、抜粋して印刷したものを見てもらっていました。


友人の設計士にも意見をもらい、間取りを決めるために家事動線や生活のことを改めて見直すいい時間となりました。


我が家の土地は間口7mの長方形で、決して間取りを考えやすい土地ではありません。 しかし友人の設計士が「単純でない形の土地の方が設計士魂に火がつくし、その方が面白いものになる」と言ってくれました。


また、初期の段階で「お金をかけるところとかけないところのメリハリをつけるといい。全部に持ち点を配って80点ずつにするより、120点もあれば60点のところもあると愛着がわくし良い味も出ると思う」とアドバイスしてくれました。


メリハリをつけるのは難しかったのですが、家づくりが終わった今、言ってくれた意味が少しわかったような気がしています。


我が家の大前提とは


前に住んでいた借家は一軒家でしたが、両隣りに家が建っていて日中も日が入らず、天気のいい日も昼間から電気をつけるのがマストでした。


買った土地も両隣に家が建っていてほぼ同じ条件だったので、1階リビングにするか2階リビングにするか悩みましたが、年齢を重ねた時のことを考えて1階リビングに決めました。


そのため、日当たりを一番懸念していて「両隣に家のある1階リビングでも、自然に日が入る明るい家にしたい」と工務店に大前提として伝えていました。


エキスパートな設計士さんとの出会い


家を建てるまでに印象深かったのが、私たちと打ち合わせをする6ヶ月の待ち時間の間に、設計士さんと社長さんが、実際に何度も土地を見に行って周りの建物の高さを計測して、日の入り方・当たり方を考えてくださっていたのです。


ようやく6ヶ月が経ち、工務店さんから「打ち合わせができます!」とご連絡いただきました。担当は設計士さん1人でした。


工務店さんには自社の設計士さんが数名いらっしゃって、最後まで担当されると伺っていました。私たちの家を担当してくれた設計士さんは、インテリアまで含めて色々と詳しく、エキスパートな方だったなと思います。


制約がたくさんある中で、全て計算してくださった設計士さんは本当にすごいと思います。


自分達を知ってもらうために


私も畑違いですが作り手なので、相手が求めていることを理解するには相手をよく知るところから始めます。そのため設計士さんにより自分達を知ってもらいたいと考え、無駄な話もたくさんしました。


私の趣味や主人との関係性、好みや生活スタイルはもちろん、細かいかもしれませんが例えば以下のような話をしました。


・帰宅してまず一番始めに何をするか

・お風呂に入った後に何をするか

・寝る前に何をするか

・休みの日には何をして過ごすか

・お化粧はどこでしているか

・トイレは誰が一番使うか

・家にいるときは各々何をしているか


好きな映画や食べ物は?好きな国や場所は?など、関係ない話も意外とヒントになる場合があります。


妻のこだわりポイント


プラン出しの前にヒアリングがあり、細かく希望を出しました。当時、私が設計士さんに渡した「イメージとこだわりポイント」と称したノートが残っていました。


◯ノートの内容

・予算は高くはないけど変わった(楽しい)おうちにしたい

・可能なのかどうかはさておき、屋根裏部屋があったり屋上に出られたり?ちょっと遊び心が欲しい

・高くなると思うが中庭に木が欲しい

・ウッドデッキは欲しいが、木材の老朽化が気になるのでどうするか?

・将来を考えて、できるだけ1階居住スペースで過ごせて光を取り込んだ家にしたい

・洋服がたくさんあるのでクローゼットにはこだわりたい

・飽きない家

・風通しのいい家

・動線が考えられている

・日差し(光)をたくさん取り込み明るいうちにしたい

・無駄なスペースをなくす

・隠す収納(コンセント・生活用品)

・キッチンは1段高くしたら面白そう(いくら予算が上がるか気になる)

・キッチンは隠す?隠さない?冷蔵庫は隠したい


・ライトはトムディクソンを使いたい(個人輸入して経費を抑えたい)

・他にもライトや照明をこだわりたいので建築士さんに相談したい(安いところは安くていい)

・できれば寝室にメイク室が欲しい(寝室か洗面所か迷う)

・仕事ができるワークスペース(こども達が勉強するスペース)が欲しい

・お客さんから見えない箇所に本棚を作りたい

・洗面台下に洗濯物置き場を隠して作りたい(コンセントなども)


ノートの項目にもあったように、なぜか冷蔵庫は絶対にリビングから見せたくなくて、とてもこだわり隠してもらいました。


「海外のおしゃれな冷蔵庫なら見せたいけれど、日本製のデザインが好きではなくて隠したい」と話しても、意外と誰にもわかってもらえませんでしたが、設計士さんはよく理解してくれて、間取りに落とし込んでくださいました。


日差しについては項目に2回も書いていますから、それほど気にしていたのだと思います。 お願いしていた通り、1階リビングでも日を取り入れられるように考えて設計してくださいました。


「イメージとこだわりポイント」のノートは打ち合わせ初回に持っていき、1部は設計士さんに、1部は自分用にして、その後もイメージを入れていくのに使いました。当時、きっと私が設計士さんの立場だったら「めんどくさい客がきたな」と感じるだろうと思っていました(笑)


家が完成してからノートを見て、ほぼほぼ要望通りに設計士さんは私の願いを叶えてくれてる!と感動しました。そして今回、また改めてそう思いました。


主人のこだわりポイントと夫婦の役割分担


主人のこだわりポイントは以下の通りでした。

・駐車場は2台(確実に停めたい)

・前に住んでいた家が隙間風が寒かったので気密性要

・トイレはTOTOがいい

・1階リビング

・日当たり

・コスト

・ウォークインクローゼットはスーツを取り出しやすくする


工務店の社長から「大抵のおうちは30坪から35坪の大きさで充分なのですよ」と聞いて、一応間取り図と値段を出してもらいました。家の面積が大きくなるとコストがかかると知って最終的に間取りを削っていきました。当初は1階に和室があったのですが、コスト・広さの問題で潔くなくしました。


実は水回りと間取りにあまり興味がなかったので、ほとんど主人と設計士さんにお任せしました。どちらかというとインテリアや家の中の色を重視していたので、夫婦で役割を決めて家づくりに充てていました。


多少揉めはしましたがお互いの得意分野で力を発揮して、両者ともにストレスにならず良かったと思います。


家を建て始めてからも「やっぱりこうしたい」というところはいくつも出てきます。 間取りは変えられませんでしたが、我が家の工務店さんはある程度家ができてから内装を決めていくのが可能だったのも良かったです。


コスト問題を考える


コストは最終的に増えるだろうと見越して、こだわるところはこだわり、こだわらなくていいところは少し妥協をしました。前述した友人の設計士が話をしてくれた「120点と60点」のアドバイス通りになったと思いますが、バランスを見ながらするプラン出しはなかなか難しかったです。


具体的にコストを抑えたところについてお話すると、憧れていた塗り壁や使ってみたかった漆喰を諦めました。トイレは当初2つの予定でしたが、コストも場所も取られます。よく話し合って、我が家のライフスタイルでは1つで不便していなかったのもあり、なくすことにしました。


トイレの窓も最後になくしました。窓を1つなくすだけでもコストが下がります。「塵も積もれば山となる」と考えて、見積もり金額よりオーバーしてしまったら、削ぎ落としていきましょう!


他にも施主支給でコストが下げられるところがあれば準備していただいて構いませんよと、設計士さんから言われていました。


そのため海外から照明を購入したり、一緒に気になっていたインテリアグッズを買ったりして、コストダウンに繋がったと思います。日本の代理店経由やセレクトショップで買うよりお手頃だった上、日本にまだ入ってきていないものを手に入れられました。


工務店さん(設計士さん)に「我が家の予算はこれしかないです」と伝えていたので、コストを下げて良いものを作ってあげたい一心だったのでしょうか?面倒くさがらず、逐一相談に乗って協力してくださいました。


工務店と施主の認識のズレをなくすために


長丁場の家づくりでは「言った、言ってない」「やった、やってない」等のズレが生じる場合があるため、「ログ(記録)を残す」のを重要視しました。お願いした工務店さんはハイテクなタイプではなく、昔ながらの職人気質な会社のせいか、メモを取ったり「議事録」を渡してくれたりしません。


しかしながら、記録をとるのは施主にできることですから、協力して手を取り合い信頼しあって家づくりをしていくのが理想的だと思います。 施主側の仕事ではないかもしれませんが、メモを取り声を掛け合って、お互いに認識のズレをなくし気持ちよく家づくりができたと感じています。



前回、今回と2回に渡って家づくりの始まりのお話をしていただきました。今回はご夫婦の家に対する希望のお話があり、前回のコラムを読みながら気になっていた「ご夫婦ともにこだわりが強い場合、意見はぶつからないのか」という疑問が解けました。


jun5さんご夫婦は興味のある部分が違うのですね!お互いに得意分野で力を発揮して、ストレスにならなかったとは素晴らしいです。せっかくの家づくりですから、揉め事は出来るだけ避けたいですし楽しく取り組みたいですよね。


それから、こだわりをノートにして工務店さんに渡す熱意。伝えるための努力を惜しまない姿勢が一貫していて、素晴らしいなと思いました。


施主と工務店との間の認識のズレをなくすための努力もそうですが、手間をかけ、気にかけ、、簡単なことではないと思います。やり遂げられたからこそ、今の満足感の高いおうちに繋がっているのでしょうね。次回のお話も楽しみです。


jun5さん、ありがとうございました!

(編集:kaori)


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